コラム

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前田悠也

第15回:球団通訳者の体調管理

通訳者にとって喉は命です。声が出ないと仕事になりませんし、なにより選手が不自由を強いられます。そのため私たちは、日ごろから体調管理を怠りません。
風邪を引いたり、体調を崩したりしないための工夫は人によって様々ですが、今回は私の体調管理の方法についてお話しします。

一番重要なのは手洗いとうがいです。当たり前に聞こえるかもしれませんが、これが体調を維持する上で最も基本的かつ有効な方法です。
たとえゴミを出すためなど短時間の外出であっても、帰宅後は薬用せっけんで爪の間から手首まで入念に洗います。うがい薬はヨード含有の製品を使って、他者との接触があった後は必ず「ガラガラ」と声を出して行います。
普段は自動車移動のためほとんど着用する機会はありませんが、遠征の際など、混雑している公共交通機関を利用する時は不織布マスクを着用します。
そして普段から、アルコール入りのウェットティッシュと共にバッグに忍ばせているのが、彼の有名な生薬入りののど飴です。喉の調子が思わしくないときはもちろんですが、気分転換にもなるので重宝しています。

また、服装にも気を配っています。ドーム球場や屋外球場など、その時々で現場の環境は異なりますが、筋肉質で基礎体温が高い上に、夏場でも激しい運動をする選手が使用するロッカールームや食堂では、冷房が低い温度で設定されている場合がほとんどです。
そのため選手と比べて著しく運動量の劣る通訳にとっては、夏場でも寒く感じることが多々あります。屋外と室内の寒暖差で体調を崩さないように、夏でも長袖のアンダーシャツを着用して、極力肌を露出しないように努めています。着替えも多めに持っていって、汗をかいたらすぐに着替えられるようにしています。

またプライベートでは、2週間に1回は昔からお世話になっている整体の先生に60分間のマッサージ治療をしてもらい、疲労の回復と免疫力の維持に努めています。
他にも朝食にバナナを食べることで自律神経の調子を整えたり、時間を作って散歩をしたりするなど、体調管理の方法はたくさんありますが、通訳者を志す方は、健康を維持するための独自の方法や、体調が悪くなりかけた時の対処法の引き出しを持っておくと、現場に出たときに役立つと思います。

前田悠也

前田悠也

東京都出身。中学から米国に留学。現在、巨人軍英語通訳

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